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2022.01.13

今更聞けない…けれどポイントは押さえておきたい!学校ワードQ&A “著作権”編

これまで「著作権」という言葉を何度か耳にしたことのある方は多いと思いますが、恐らく「他人が創作した絵や文章をそのまま使っちゃいけないんですよね…?」「コピーしちゃいけないんですよね…?」と、なんとなくの理解になってしまっている方も多いのではないでしょうか。

学校現場に対しては、近年進むデジタル化の状況を鑑みて、著作権に関する方の見直しや制度の整備が進められています。
改正のポイントは押さえておきたいものの、条文を読み解いていくのも一苦労…。今回はそんな先生方のために、学校における著作権の考え方の基本をまとめてみました。

「著作物」とは…?

世の中に存在するあらゆる「著作物」を保護するのが「著作権」です。しかしそもそも、その対象となる「著作物」とはどのようなものを指しているのでしょうか。
「もしかして、日常の中での発言や、会議のためにまとめた簡単なデータ資料なども『著作物』にあたるのか…?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、法律上は、以下の4点を全て満たすものが「著作物」と言われます。


「著作権」とは…?

これを前提として、「著作権」とは、上記の条件を満たす「著作物」を創作した人(著作者)に生じる権利のことを指し、
・著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)
・著作財産権(複製権・公衆送信権など)
の二つから成り立っています。

著作者人格権は著作者固有の権利であって、移転することがなく、著作者の死によって消滅します。
著作財産権は、原則として著作物を創作したその時点で発生し、著作者が生きている期間はもちろん、著作者の死後70年間にわたって保護されます。こちらは著作者が権利を譲渡するケースもあります。
「著作権」という時、一般的に指されることが多いのは、この著作財産権の方です。本コラムで「著作権」としてふれていくのも、著作財産権についてになります。


著作財産権の具体的な内容には
・複製権(複製する権利)
・上演・演奏権
・上映権
・公衆送信権(放送したり、Web送信したりする権利)
などが含まれています
が、ここで、著作財産権を持たない人が、著作権者への許諾なしに著作権者の有する権利を害する行為をとることは著作権の侵害として禁止されています。

法律に定める例外を除いては、著作権を持たない人がそういった行為をとることを求める場合には、著作権者に許諾をもらう(=複製してもよい、Web上で送信してもよい、といった内容の契約を結ぶ)という流れを踏む必要があるのです。


学校現場と著作権

学校現場においても、著作物に該当するコンテンツは無数に存在しています。
・教科書に載っているイラスト
・国語で扱う物語
・音楽で扱う曲
・社会で使用する資料
・図工で鑑賞する絵
などなど…。

「ということは、授業で使用するコンテンツにも逐一使用許諾が必要なの…!?」と気になるところですが、教育機関(非営利の教育機関。学校教育法やその他法令に基づいて設置された機関)の場合、授業の過程における利用を目的とする場合には、その必要と認められる限度において、使用(複製やWebでの送信)が認められています(著作権法35条1項)。通常の授業内での使用に加え、複製やWebを利用した同時双方向型授業(先生と児童・生徒が同じ時間に離れた場で開催する授業。例:オンライン授業)などにおいて、「著作権者の許諾なしに使用できる」ことになっています。

ただし、学校現場であっても「当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害する」(改正著作権法第35条1項但し書き)と判断される場合は、著作権侵害となってしまうため上記のような使用はできません。
ドリルやワークブックの複製などは一人一冊の購入を前提としているため、定型的に、著作権者の利益を害する場合にあたると考えられます。


オンライン学習をめぐる著作権の動き

最近では、コロナ禍の影響もあって教育現場のデジタル化が進行し、Webを介した授業実施や資料送付が行われる機会が増えています。

これまでの法律では、同時双方向型でない授業(オンデマンド型授業)やサーバーを介してやり取りする資料に他者の著作物を使用する場合は、原則として許諾をとらなくてはいけませんでした。しかし、デジタル化が進み、そういった機会が増えた今、すべての使用許諾をとるのは大変…。
そこでポイントとなるのが、「2020年4月の改正著作権法の施行」です。

この施行により、利用者が著作権者に対して補償金を支払うことによって、コンテンツを許諾不要で利用できる「授業目的公衆送信補償金制度」が新たにスタートし、利用者と著作権者の間では、SARTRAS(サートラス/一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会)という団体が調整役を担うことになりました。学校の設置者が、SARTRASへの登録と補償金の支払いを行えば、同時双方向型でない授業においても、許諾なしで著作物を利用できることになっています。


学校現場における著作権Q&A

ここまでの内容を踏まえて、実際の学校現場で発生するケースについて、Q&Aで考えてみたいと思います。

Q. インターネットを利用した同時オンライン授業で教科書を映したいのですが…。

A. 授業の過程における利用が目的であれば、同時双方向型のオンライン授業では、その必要と認められる限度(授業内容や進め方と照らした際に、客観的に必要であること)において、教科書は許諾なしで利用できます。

Q. ドリル教材を文書データにして児童へメール送信するのは問題ないでしょうか?

A.ドリル教材のように、一人一部の購入が前提として販売されている教材を複製して共有するのは、オンライン授業かどうか、同時双方向型の授業かどうかに関わらず定型的に「著作者の利益を不当に害することとなる場合」と見做されるため、基本NGです。

Q. 自作の教材を文書データにして児童へメール送信するのであれば問題ないでしょうか?

A. 自作の教材の中に他人の著作物が含まれていない場合、つまり、完全オリジナルの教材や、算数の足し算や引き算の問題のように、著作物とは言わないものが使用されている場合は問題なく法律の範囲内と考えられます。
自作の教材の中に他人の著作物が含まれている場合は、著作権法35条1項(学校その他の教育機関における複製等)の要件を満たしていない時に、著作権者の許諾を得る必要が出てきます。
著作権法35条1項の要件としては、特に、
①「授業の過程における利用を目的としているか」
②「その目的に必要と認められる限度か」
③「著作権者の利益を不当に害することにはならないか」
の3点に留意する必要があります。基本的には、授業の予習復習に必要な範囲であれば①②の要件は満たすことが多いですが、③に合わせて慎重に考える必要があります。

まとめ

さまざまな条文が関わりあっており、なかなか理解が難しい著作権。今回のポイントをまとめてみました。

まとめ

・世の中にある著作物の著作権者は著作権を有しており、複製やWeb上での利用にあたっては原則著作権者の許諾が必要。
・学校現場では、授業の過程における利用を目的とする場合には、その必要と認められる場合において、著作権者の許諾なしでの使用(複製やWebでの送信)が認められている。
・しかしあくまで著作権者の利益を不当に害さない場合に限られている点に注意。

今回は、あくまで著作権についての基本の説明になります。「知らぬ間に著作権を侵害してしまっていた…」ということを避けるためには、まず、他人の著作物を著作権者の許諾なく利用できるのは、例外的な場合であるという前提を意識しましょう。そして、授業の過程で他人の著作物を利用する場合は、著作権法35条の要件を満たしているかどうかが重要なポイントになることを押さえておきましょう。
35条のより詳細な内容については「改正著作権法第35条運用方針」のような情報を参考にしてみてください。

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光文書院では、以下の商品については、複製利用を認めております。機会に照らしてご活用ください。
※光文書院のテストやドリルなどの図書教材は、「当該著作権の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することになる場合」(第35条)にあたるため、複製や同時双方向型の授業での使用を一切禁止しております。

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