COLUMN
2021.02.22
小学校におけるキャリア教育は、2020年度から全面実施された新学習指導要領から明確に提示され、新しく「キャリア・パスポート」という取り組みも始まりました。ですが、小学校でキャリア教育をやる意義がよくわからないという先生方や、キャリア教育の授業とは、一体何をしたら良いのかわからないという先生方も多いのではないでしょうか。そこで、キャリア教育を専門とされている筑波大学の藤田先生にキャリア教育の目的、課題や展望などについて、お話を伺いました。また、藤田先生が理事を務められているNPO法人スマイル・プラネットのキャリア教育の取り組みについてもご紹介します(光文書院は、NPO法人スマイル・プラネットのメインサポーターです。)。
目次
藤田 晃之(ふじた てるゆき)
筑波大学大学院博士課程人間総合科学研究科筑波大学教授。専門領域は、キャリア教育の比較研究および教員養成制度研究。文部科学省 国立教育政策研究所での職務経験も持ち、教育関連の国の政策や法令にも精通。
光文書院 経営管理統括
オペレーションチーム
2020年入社/I.S
ーキャリア教育はどのように始まったのでしょうか?
キャリア教育が最初に提唱されたのは、1999年で、当初はニート・フリーター対策として提唱されました。当時は「小学校でのキャリア教育は時機尚早」という批判も多く出されていたことを記憶されている先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。その後、2005年度から、中学校の職場体験活動に集中的に予算が組まれ、ニート・フリーター対策としての大きな方向性は維持されながらも、職場体験活動の焦点化が図られました。
この中学校での職場体験活動が広まった背景のひとつには悲しい事件があります。阪神淡路大震災です。この地震で肉親を失ったり、火災にあったりして、心に傷を負った子どもたちがたくさん出ました。その中で、子どもたちの大きな心の傷が、数年経って、問題行動として表面化してきたんです。例えば、不登校や教室の荒れ、校内暴力などが起き、先生方を悩ませていました。
それを見かねた兵庫県教育委員会が、地域社会全体で子どもを育てるために始めたのが「トライやる・ウィーク」です。これは、連続5日間の職場体験・福祉体験・勤労生産活動などの地域での体験活動を通じて、働くことの意義や楽しさを実感したり、社会の一員としての自覚を高めるなど、生徒一人一人が自分の生き方を見つけられるよう支援することを狙いとするもので、兵庫県では現在も継続されています。この「トライやる・ウィーク」の実施初年度は1998年度でしたが、その翌年度から子どもの不登校率の低下や教室の荒れの改善傾向が確認されるようになりました。おそらく、大人と同じ職場で働くことで自信が芽生えたり、懸命に日々働く大人の姿に接して、今の自分がいかに子どもじみているかということに気づいたりすることができたのでしょうね。この兵庫県での成功例を全国展開しようとしたのが、2005年度に開始された中学校の職場体験活動のキャーンペーン「キャリア・スタート・ウィーク」になります。
ーその職場体験から、どのような経緯で今のキャリア教育の形となったのでしょうか?
職場体験が広まり始めてから3年ほど経過した、2008年1月に「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」という中央教育審議会答申にて、子どもが社会人・職業人として自立するためには、新たな学習指導要領において、キャリア教育を充実させる必要があると指摘されました。そこでは、高等学校だけでなく、小学校・中学校からキャリア教育を推進することが明確に求められていたのです。
この中央教育審議会答申を反映し、翌2009年に改訂された高等学校の学習指導要領でキャリア教育という言葉が初めて盛り込まれました。しかし、その前年、同じ答申に基づいて改訂された小学校・中学校の学習指導要領にはキャリア教育という言葉は使われていません。
このような高校と小・中学校との差を生んだ理由は、学習指導要領上の規定として明記するための根拠の有無に求められます。2008年7月、「教育振興基本計画」が閣議決定され、そこで小学校・中学校・高等学校でキャリア教育を推進することが明確に示されました。閣議決定というのは全閣僚が合意して政府の方針を決定したものですので、そこでの決定事項を踏まえ、2009年3月に改訂された高等学校の学習指導要領には、キャリア教育という言葉を直接的に盛り込むことができました。ですが、閣議決定前に改訂された小学校・中学校の学習指導要領では、法的拘束力を持つ学習指導要領に明示的に盛り込むだけの強い根拠が不十分であると判断され、キャリア教育という文言を直接入れることができなかったんです。
そういう「裏の事情」まで把握することが難しい小学校の先生方からすると、2017年の改訂で、急にキャリア教育が飛び込んできたように感じられてしまったかもしれません。ですが、よくよく2008年に改訂された学習指導要領を読んでいただくと、キャリア教育という言葉は使っていなくとも、キャリア教育につながる学習内容が、そこかしこに顔を出しています。
そして、遂に、2017年3月、小学校の学習指導要領でも、キャリア教育という言葉を直接加えることができ、小学校でも全国で本格的にキャリア教育が実施されることとなりました。さらに、2020年度からは、「キャリア・パスポート」という学年や校種を越えて学習状況やキャリア形成を振り返る取り組みも始まりました。
ー今のキャリア教育が目指しているものとは何でしょうか?
2011年に発行された「小学校キャリア教育の手引き(改訂版)」に小学校・中学校・高等学校の「キャリア発達課題」というものが掲載されています。これは、児童生徒の発達の段階を視野に収めた上で、小学校・中学校・高等学校の各校種におけるキャリア教育の課題をまとめたものです。
高等学校の課題は「現実的探索・試行と社会的移行準備」です。自分の進路について、ある程度具体的に方向性を決めて、その進路に関する知識を深めるなどして、社会や職業への移行の下準備を行うということです。
そして、中学校の課題が、「現実的選択と暫定的選択」です。例えば、職場体験について考えてみてください。職場体験では、幼稚園や花屋さんなど様々な職場に行きますよね。ですが、中学生は必ずしも幼稚園の先生になりたいから幼稚園にいくわけではないし、花屋さんになりたい生徒だけが花屋さんに行くわけではありません。このように、将来との結びつきをそれほど強くは考えなくとも、暫定的に決めて体験することで、職業観や勤労観を形成させることが中学校の課題になります。
小学校の課題は「進路の探索・選択にかかる基盤形成」です。小学校では、高等学校や中学校とは異なり、未来へのイメージを広げることを大切にしていきます。例えば、「乃木坂46になりたい」という子がいたら、「なんで、乃木坂46になりたいの」と聞いてあげて、そこで、「歌が好きだから」と返ってきたら、「歌に関われる仕事は他にはないのかな」とイメージを膨らませるための支援をする。そういう視野の広がりを経ながら、学級活動や学校行事をはじめ、様々な教育活動の中で「人と助け合うってすごく面白い」とか「大人になるって、ワクワクするな」とか、「頑張った後はスッキリするんだ」とか、より基本的なことに関する子どもの理解を深めることが小学校のキャリア教育なんです。そして、このような様々な活動を通して 育成したい力を各学校において設定する際、参照していただきたいのが「基礎 的・汎用的能力」です。これは、子ども たちが将来、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現するための基盤 となる力を大きく4つに区分して提示したものです。
ー小学校のキャリア教育が抱えている一番の課題とは何でしょうか?
先生によって、キャリア教育に対してのイメージがバラバラで統一されていないことですね。先ほどお話ししたように、キャリア教育は提唱されてから20年の間にその方向性や焦点を変容させながら今日に至っています。キャリア教育の初期の印象が強く残っている先生方は、ニート・フリーター対策のイメージをもっていらっしゃいます。また、中学校の職場体験活動に集中的に予算が組まれた時期にキャリア教育のご担当をされた経験のある先生方の中には、「小学校でやらなくても、中学校で職場体験をすれば良いじゃないか」という考えをお持ちの方も少なくないようです。一方で、今日のキャリア教育が中央教育審議会答申で提示された2011年からキャリア教育に携わった先生方は、比較的すんなりと小学校のキャリア教育の必要性を理解できる方が多いように見受けられます。
このように、どの時期に、キャリア教育に出会ったかによって、先生方が抱いているキャリア教育のイメージが、全く異なるのです。だから一口に「キャリア教育を推進しましょう」と言っても、それぞれの先生方によって、その言葉の受け止め方が全然違うんです。「十年、ひと昔」という表現がありますが、キャリア教育に関しては「ふた昔」、あるいはそれに相当するくらい「昔」のイメージが未だに残っているように感じられます。
ーでは、先生方にキャリア教育の共通イメージをもっていただくためには、どうしたら良いのでしょうか?
私は、この状況はインターネットが解決してくれるという少し楽観的な予測をもっています。今では、多くの小学校がキャリア教育の取り組みを学校のホームページで発信しています。そのホームページで、「子どもがこう変わった」とか「こういう風に地域が変わってきた」という情報提供がますます盛んになれば、今まで食わず嫌いだったり、古いイメージに囚われていたりした先生方も、キャリア教育に対して正しいイメージを抱いてくれるようになってくださると考えています。
ー各学校のホームページ以外で先生方が参考にできる資料等はありますでしょうか?
『小学校 キャリア教育の手引き』の再改訂作業が2021年3月に終了し、2021年5月ごろまでに、文科省のホームページで公開される予定になっています。ここでは、新学習指導要領に沿ったキャリア教育の目標や効果的な進め方などが掲載される予定なので、読んでいただければ、先生方に情報の刷新を図っていただくことができると思います。
ー「キャリア・パスポート」が開始されるまでの経緯を教えてください。
知識基盤社会やSociety 5.0、第四次産業革命など、社会は目まぐるしい変化を遂げています。このような変化の激しい社会を生き抜くためには、子どもたちが、自ら学び続けていく姿勢を育むことが大切です。
このような社会的背景を踏まえて、新しい小学校学習指導要領の「前文」では、「幼児期の教育の基礎の上に、中学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら、児童の学習の在り方を展望していくために広く 活用されるものとなることを期待して、ここに小学校学習指導要領を定める。」と記載されています。
さらに、小学校学習指導要領 総則「第4 児童の発達の支援」の1(3)では、「児童が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充 実を図ること。」と定められています。
これを受けて、小学校学習指導要領 「第6章 特別活動」の「第2 各活動・学校行事の目標及び内容」における「学級活動」の「3 内容の取扱い 」において、「学校、家庭及び地域における学習や生活の 見通しを立て、学んだことを振り返りながら、新たな学習や生活への意欲につなげたり、将来の生き方を考えたりする活動を行うこと。その際、児童が活動を記録し蓄積する教材等を活用すること。」と定められました。
これらの学習指導要領の記述がを根拠となり、2019年3月29日発出の文部科学省の事務連絡にて、「児童が活動を記録し蓄積する教材等」が「キャリア・パスポート」と呼ばれるようになり、全国に普及することとなりました。
ーなぜ「キャリア・パスポート」が導入されたのでしょうか?
「キャリア・パスポート」が導入される以前も、さまざまなキャリア教育の取り組みや個々の活動の振り返りは行われてきましたが、学年を越えての振り返りは実施されてきませんでした。
例えば、職場体験や社会科見学の後には事後指導があり、子どもは、その時に感じたことや気づいたことをワークシートや作文に書きます。そうしたものを学習記録のバインダーに綴じて、その学年の終わりまで保存しておきます。そして、終業式を迎える際に、先生方が「この学習の記録は、みんなの一年間の貴重な学びだよね。大切にしてね」などと言って家に持ち帰らせますよね。でも、持ち帰ったら最後、子どもによっては、そのままゴミ箱に直行する子もいるだろうし、大切に学習机にしまう子もいるでしょう。ですが、結局、そのまま振り返って見ることはせずに、せいぜい結婚する時とか、引っ越しする時とか特別な時だけに懐かしんで見るくらいで終わってしまう。
このように、これまでせっかくやってきた色々な学びが蓄積されずに散逸してしまっていたわけです。なので、それを散逸しないように、継続して学年を超えて蓄積して、計画的に振り返りのチャンスを設けていこうというのが「キャリアパスポート」になります。
出典:「『キャリア・パスポート』例示資料等について」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/detail/1419917.htm)(2012年12月20日に利用)
ー現場の先生方の「キャリアパスポート」への反応はどうでしょうか?
正直、「キャリア・パスポート? 何だそれは?」とか、「働き方改革が求められているのに、また仕事を増やすのか」という思いを抱えていらっしゃる先生方少なくないように見受けられます。
ですが、私は「キャリア・パスポート」で、小学校の先生方の負担はそれほど増えないと考えています。実は、「キャリア・パスポート」に記入すべき事項は、ほとんどの小学校で既に揃っているものなんです。例えば、2年生になって何を頑張りたいかとか、今度の修学旅行に向けてどうしたいかとか、ボランティアでは何を感じたかとか。そういう内容は、これまで各小学校で色々なワークシートで書いててきたことですよね。
ですから、「キャリア・パスポート」っていうカタカナ文字を見ると、新しい変なものが来たという印象を受けてしまいがちですが、実際蓋を開けてみると、やることは今までやってきたことと同じです。ただ、今までバインダーに綴じて1年毎に持ち帰っていたものを、年をまたいでいつでも振り返られる統一的なフォーマットで整理して活用しようとしているということなんです。このことをご理解いただけれれば、先生方の負担感もだいぶ和らぐと思います。
また、今まで独自のワークシートを作られてきた先生方の中には、自治体ごとに統一フォーマットが示されたことで、先生方の主体性や独自性を否定されたように感じている方もいらっしゃるかもしれません。ですが、「キャリア・パスポート」の導入から数年が経過すれば見方が変わってくると思います。例えば、クラス替え後に、様々なクラスから集まってきた子どもたちが、同じシートを使って、これまでの学年での学びをを振り返ることができる。さらに言えば、複数の小学校から進学してきた生徒たちが、小学校の時に記載した「キャリア・パスポート」のシートを振り返り、自らの成長や変容を確認する。これらは、今までの学習記録ではできなかったことです。そうなると、「やっぱり、共通のフォーマットに沿って書かれた・パスポートがあってよかったね」と先生方も思えるようになるのではないでしょうか。
ーキャリアパスポートの実践例はすでに出ていますか?
ありますね。 県レベルの例でいうと、例えば、兵庫県や秋田県では小学校で「キャリアノート」というものに5年ほど前から取り組んでいます。この「キャリアノート」も「キャリアパスポート」と同様、統一フォーマットで学年を越えて、子どもの目標や活動などを継続して記録していく構成になっています。また、市町村レベルでの実践や学校単位で取り組まれている小学校もたくさんあり、学年を超えた振り返りにも取り組まれています。それらの取り組みは、子どもの成長の気づきに繋がっています。例えば、1年生の時の運動会の振り返りシートを3年生で振り返ってみると、まず文字から全然違います。文字を綺麗に書くどころか、枠からはみ出るような文字を書いていた自分が、今では、きちんとまっすぐ書けている。この低学年から中学年のたった2年ぐらいの振り返りでも、自分の大きな成長に気づくことができるのです。
ー藤田先生にとって、“理想のキャリア教育の授業”というのはどのようなものでしょうか?
もちろん、職場体験のような新しいことを始めるというのもあってもいいですが、それよりも小学校では特に、なにげない通常の授業の中で、気づきを発見していくことが大切だと思います。実は、国語、算数、理科、社会など、どの科目の中にもキャリア教育の宝物が埋まっているんです。例えば、教室の空気がどんよりしてしまうような難しい計算問題。
問題が難しすぎて、ぼーっとしてしまったり、友達と雑談を始めたりしてしまう子どもに、「口を動かさないで、手を動かして」などと言って、無理矢理、勉強に向かわせようとしてしまうこともありますよね。
ですが、そこで、「その計算問題の考え方は、大人になっても使うことが多いんだよ。例えばね……」とか、「みんなが遊んでいるゲームをつくるのにも応用されているんだよ」という話をしてあげたら、子どもはワクワクして、「勉強って面白いんだな、楽しいな」と感じるようになってくれます。そういう気づきを子どもに与える授業が私が考える“理想のキャリア教育の授業”なんです。
ーキャリア教育が世の中に浸透するようになったとき、そのキャリア教育を受けてきた子どもたちはどのような未来を築いていると思われますか?
子どもたちの未来に対する見方が変わって、明るい社会になっていくと考えています。
今の子どもたちは、将来の先行きが不安であるとか、AIに仕事が奪われてしまうとか、日本の未来に対して、ネガティブなイメージを抱いてしまっています。ですが、私はその子どもたちの考え方がキャリア教育を通じて徐々に変わっていくと信じています。
例えば社会科では、世界の人口について学ぶと思うのですが、そこでは、世界的に人口が増えていて、特にアフリカ大陸の人口が増えているということを学びます。その事実を教えるだけでは、そこで話が終わってしまい、それ以上発展しません。
ですが、もし、そこで、先生が、「アフリカ大陸の人口が増えているということは、日本の商品を買ってくれる人が増えるということだよね。そうしたら、みんなが頑張って良い製品をつくったら、アフリカ大陸の人がたくさん買ってくれるね」という話をしたら、子どもたちは未来にチャンスを感じて、ワクワクしてくれるかもしれません。
これはほんの一例に過ぎませんが、先生方が、授業の中で、キャリア教育に繋がる話を子どもにしていくことで、子どもたちの未来に対する見方を変えていくことができます。すると、その子どもたちが築く未来は、今よりもずっと明るいものになっていくのではないでしょうか。
ー最後に、現場でキャリア教育に取り組まれようと頑張っている先生方に向けてメッセージがありましたら、お願いいたします。
キャリア教育を実践されている先生方は、学年ごとにキャリア教育の具体的な目標設定をしてみてはいかがでしょうか。
「生き生きと光り輝く子どもの育成」や「望ましい勤労感・職業観を育てよう」という抽象的な目標を立てる先生方がいらっしゃいます。スローガンとしては素敵ですが、このような抽象的な目標では、本当に子どもたちがその目標を達成したのかどうか検証することができません。検証ができないと、やってもやっても手応えを感じられず、先生方はどんどん疲弊していってしまいます。
ですが、もし、「基礎的・汎用的能力」を参考にしながら、「○○のような時に△△するこことができる」といった表現を用いて具体的な目標を立てていれば、子どもがどのくらい目標を達成できたかを測ることができ、実践してきたキャリア教育にどれほど効果があったのかを実感することができます。そして、先生方の間でも、子どもの卒業時に何ができているとよいかという具体的なイメージを共有することができます。
さらに、もっとよいことがあります。それは、具体的な目標が「褒めポイント」になるということです。「こういう時期にこういうことができるようになるのが目標で、お子さんはその目標を達成しています。」ということを保護者の方に伝えれば、その子どもは、家と学校で2度褒められることになります。すると、子どもは嬉しくなり、自己肯定感が高まります。このように具体的な目標設定を通じたキャリア教育は、先生方にとっても、子どもにとっても、喜ばしい意味のあるものとなります。
ぜひ、具体的な目標をもって、キャリア教育の実践に励み、明るい未来を切り開く子どもたちを育くんでください。私も、これからも大学の一教員という立場から、キャリア教育に取り組まれている先生方を応援してまいりたいと存じます。
■ NPO法人スマイル・プラネットのキャリア教育の取り組みのご紹介
光文書院が支援しているNPO法人「スマイル・プラネット」では、独自のプログラムで小学校のキャリア教育に取り組んでいます。藤田先生が理事を務められています。その活動内容について事務局長の山先公一(やまさき こういち)さんにご紹介いただきました。
スマイル・プラネットでは、大きく分けて2つの事業に取り組んでいます。1つは、小学校でキャリア教育に取り組む先生方に有用情報をお届けするという、キャリア教育啓発事業。そしてもう1つは、当法人が開発したキャリア教育カリキュラム「自分の未来の可能性を広げよう」の出前授業を行うというキャリア教育出張事業です。啓発事業では、当法人Webサイトで情報提供をしていますので、是非、ご覧いただければと思います。また、出張授業のプログラムは経済産業省主催のキャリア教育アワード(第9回)において優秀賞を受賞しました。限られたご要望にしかお応えできませんが、ご応募をお待ちしております。
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